大学生の頃、お金持ちのパリ在住マダムとマカロンの話をした時のこと。
マダム曰く
「マカロンはピエール・エルメが一番だと思うの。日本ではサダハ●アオキっていうのが人気だそうだけど、私には良さが分からないわ。”驚き”がないのよねえ….」と。
私はそれまで「マカロンに驚きを求める人」に出会ったことがなく、もう10年以上も経つというのに、この出来事は何だか昨日のことのように覚えています。
その時の私は「金持ちというのはマカロンに驚きたいものなのか…」と、まあまあ意味不明な感想を抱きつつ(笑)自分がマダムと同じようなことを思うことなんて想像できなかったのだけど。
時が経って、「驚きたい」気持ちが、ちょっと分かった気がしました。
まさに昨日、アラサーの私が百貨店のピエール・エルメに寄った時のこと。
店員さんがケーキの味を説明してくれるのだけど、なんだか取り合わせが不思議なのです。味の想像が全然つかない。
ピスタチオとクリームチーズのケーキとか。
パッションフルーツとマロンと抹茶のケーキとか。
どうしたらそこを組み合わせようと思うんだ?という組み合わせなのですよね。
絵画のような素晴らしい見た目と、見た目からはイメージできない味。
それが、たまらなく魅力的なんです。
出会ったことがないケーキなのだけど、ああ食べてみたいなあと思わせる。
素敵な「驚き」を匂わせる何かが、そこにはありました。
もちろんこういうものはピエールエルメのスイーツ以外にも沢山あるのですが。
考えてみると、そういう驚きに出会えたのは、割と最近な気がしてきました。
「美味しくて驚く」「オシャレで驚く」
って、年を重ねて、まあまあの数の「普通に美味しいもの」「普通にオシャレなもの」に触れてきたからこそ言えるものなのかもしれません。
先のマダムはおそらくパリでそこらの美味しいマカロンは食べつくしていて、それでも「ピエールエルメのマカロンには驚きがある」と熱弁していたのかな….
なんて考えながら、アラサーの私もたまにはビックリしてみたくて、不思議な色のケーキを買って帰りました。
どんな味なのかなあ、わくわく。